審判委員会


2005年 競技規則

関係各位
2005年8月30日

(財)日本サッカー協会審判委員会


オフサイドの適用に関する新たな指示(通達)


 8月17日付にて、FIFA回状No.987「競技規則第11条(オフサイド)の決定2の適用に関するIFAB(国際サッカー評議会)の勧告」として、次の2点について加盟協会へ通達されました。
「プレーへの干渉」の解釈
 相手競技者への干渉が考えられない状況で、オフサイドポジションの競技者がプレーするためにボールを追っている場合、「副審はその競技者がボールに触れる(プレーする)まで旗を上げることを待つ」というこれまでのFIFAの指示(2005年7月15日)に、「オンサイドポジションからボールへプレーしようとする攻撃側競技者が誰もいない場合は、」という条件付きで、「オフサイドポジションの競技者がボールに触れる前に罰せられる(副審の旗〜主審の決定)こともある。
「相手競技者への干渉」の解釈
オフサイドポジションの競技者がプレーするためにボールを追うことで、相手競技者との身体的な接触の可能性があると判断される場合は、オフサイドとして罰せられる(副審の旗〜主審の決定)。


また、次の点についても連絡がありました。
* 「オフサイド時の再開位置(間接フリーキックの位置)」
味方競技者によってボールを触れられるかプレーされた瞬間に、オフサイドポジションにいると判断された位置から再開する。

 以下に、FIFAからの回状と日本協会の解説を示します。それぞれの協会、連盟は加盟クラブ、チームそして審判員などの関係者へ周知徹底をしていただくようお願いいたします。
 本通達については日本協会が主催する試合については、9月9日から開催される国民体育大会(岡山)より、各地域、都道府県協会が主催する試合においては遅くとも10月末日までに施行するようお願いします。
 なお、Jリーグでは9月3日、JFLでは9月24日、Lリーグでは9月25日から施行するものとします。

FIFA回状No.987
競技規則第11条(オフサイド)の決定2の適用に関するIFABの勧告:


 2005年7月1日に発効となった競技規則2005に関し連絡します。2005年2月26日、ウェールズにて行われた会議にて、国際サッカー評議会(IFAB)は第11条−オフサイドに関連した2つの決定を下しました。
 これら2つの決定は、第11条−オフサイドの文章や表現を変更するものではなく、むしろ競技や攻撃的プレーに有益となるよう文章を明確にしたものです。
 しかしながら、これらの決定の適用に際し、初期のフィールド上で起こったことでは、ある特定の状況の説明を必要としました。そのため、FIFA副会長であり審判委員長のAngel Maria Villar Llona氏を議長としたIFABのワーキンググループの会議が2005年8月11日、チューリッヒにて行われました。第11条の文章及び表現、その決定1と2、またその精神も変更されませんでした。しかしながら、ワーキンググループは“第11条、IFABの決定2の適用に関する勧告”として以下の文章に関して同意しました:

“オンサイドポジションにいる他の味方競技者の誰もボールをプレーする機会がないと主審が判断したならば、オフサイドポジションにいる競技者がボールをプレーする、あるいはボールに触れる前に罰せられることもある。”

<日本協会の解説>
 今回の通達により、オフサイドポジションにいる競技者が、相手競技者への干渉(ボールの進む方向に位置して、動く、プレーのそぶりをして、相手の視線を遮る、相手の動きを邪魔する、相手を欺く、相手を惑わせる)が考えられない状況でボールを追っている場合でも、ある条件下においてはボールに触れる(プレーする)前に「プレーに干渉した」と判断し、副審が旗を上げることができるようになった。
 ある条件下とは、オフサイドポジションの競技者がプレーするためにボールを追っているとき、オンサイドポジションにいる競技者の誰もボールをプレーする機会がない(ボールに向かって行動を起こしていない)ということである。
 副審は
オフサイドポジションにいる競技者がプレーするためにボールを追っている
他の攻撃側競技者が誰もボールをプレーする機会がない
という、2つ条件を確認した時点で旗を上げることになる。副審は常に“Wait and See”に心がけ、この条件下においてオンサイドポジションにいる競技者がプレーできる機会があるかないかを速やかに、かつ的確に判定することが必要となる。
 なお、FIFAからの通達では“・・・主審が判断したら・・・”と表現されており、副審の判断については述べられていない。これは、最終的な判定は主審によって下されるためであるが、オフサイドについては、当然のことながら副審が「オフサイドポジションか否か」および「プレーまたは相手競技者に干渉したか、等」について判断し、主審の判定の前に副審がオフサイドであるか否かを判定する(旗を上げる)ことになる。

<参考>
 次の図は、「サッカー競技規則2005/2006(P.60)」にある「オフサイドに関する図解:4」であり、今回の通達により新たな解釈(下線部分)を加えたものである。この図の他に12のオフサイドに関する図解が掲載されているが、変更はない。
 オフサイドポジションにいた攻撃側競技者(A1)がボールに向かって、(A2)の位置でボールをプレーした。副審は、競技者が(A2)の位置でボールに触れたときに旗を上げなければならない。
 ただし、オンサイドポジションにいる攻撃側競技者の誰もボールをプレーする機会がない(ボールに向かって行動を起こしていない)と判断したら、オフサイドポジションにいる競技者がボールをプレーする、あるいはボールに触れる前に、副審はオフサイドとして旗を上げることができる。
 しかし、オンサイドポジションにいる攻撃側競技者(B)がボールを追っている状況でプレーできる機会があると副審が判断した場合は、最終的に(A)、(B)いずれの競技者がボールをプレーする(触れる)か、を見定めるまで副審は旗を上げることを待たなければならない。



“相手競技者がプレーに加わり、身体的接触の可能性があると主審が判断したならば、オフサイドポジションにいる競技者は、相手競技者への干渉を理由に罰せられるものとする。”
<日本協会の解説>
 味方競技者によって送られたボールに対して、オフサイドポジションの競技者と相手チームの競技者(例えばゴールキーパーやディフェンス)がほぼ同時にボールへチャレンジしていくような状況では、その方向が正面から、横方向からあるいは後方からでも両者の間に身体接触が起こる可能性が生じる。その場合は、相手競技者への干渉を考慮し副審は旗を上げるべきであり、主審は速やかに決定を下さなければならない。オンサイドポジションの競技者と相手競技者との競り合いがボールを介して正しく行われるならば身体接触は認められる。しかし、相手競技者への干渉でオフサイドの反則があるにも拘らず、副審の旗や主審の笛が遅れることで危険な身体接触が起こり、競技者が負傷することは避けられなければならない。

これに加え、オフサイドの反則(第11条−違反/罰則)後の試合再開の位置に関して、IFABは下記の説明に対して同意しました:

“試合の再開は、競技者がオフサイドポジションにいると判断された位置から間接フリーキックを行うものとする。”

これらの指示を貴協会の主審ならびに副審に連絡するようお願いします。またこの機会にFIFA規約第2条及び第6条に関し再度連絡します。第6条の1項は:“FIFAの各メンバーはIFABによって発行された競技規則に従ってサッカーを行うものとする。IFABのみが競技規則を策定し、変更することができる”と明示しています。

この説明が本件に関する議論を終結させ、IFABの決定並びにFIFA規約が完全に尊重されることを願います。

国際サッカー連盟
事務局長代理 ジェローム・シャンパーニュ


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