2006年10月1日
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関係各位
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財団法人 日本サッカー協会
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国際サッカー連盟(以下、FIFA)から回状1045号をもって2006年フットサル競技規則の改正概要について通達がありましたので、その日本語訳および必要な日本協会の解説を下記のとおりお知らせいたします。それぞれの協会、連盟などで、加盟クラブ、チーム、審判員などの関係者に周知徹底を図られるようお願いいたします。
なお、回状において、改正等の効力は即時発するとしていますが、日本協会そして各地域、都道府県協会が主催する試合については、本年10月1日から施行することとします
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記
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回状 第1045号
チューリッヒ発:2006年8月3日
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メンバー協会各位
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2006年フットサル競技規則改正について
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拝啓
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国際サッカー評議会の小委員会およびFIFA審判部との協調の下、FIFAフットサル委員会はフットサル競技規則を最新のものとしました。承認された競技規則及び決定の改正概要は、次のとおりです。 |
敬具
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◆第7条及び第8条 ―タイムアウト及びチーム役員
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現在の条文は、チーム監督のみがタイムキーパーにタイムアウトの要求ができるとしているが、これが変更され、監督がその行為の実行を禁止されている場合でも、チーム役員のいずれかが、これを行えることになった。
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◆第1条 −ピッチ
現在の文章
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新しい文章
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ゴールは、移動式のものでも良いが、プレー中は、ピッチ面に対して確実に固定しなければならない。
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ゴールには、転倒防止のために安定させる仕組みが施されていなければならない。移動式ゴールは、固定式ゴールと同等に安定させ得る場合に限り使用することができる。
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理由 |
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競技者がゴールポストに衝突しても重傷を負わないようにある程度の移動性を保ちながら、安全向上や転倒を防ぎ、ゴールをピッチ面に固定するために様々な仕組みがある。
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<日本協会の解説>
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日本では砂袋等をもってゴールの転倒を防止する場合が多いが、十分な重さと数の砂袋等でゴールを安定させなければならない。 |
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現在の文章
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新しい文章
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コーナーキックを行うときの距離を確実に守らせるため、コーナーアークから5m離れたところに、ピッチの外側にゴールラインと直角なマークを描くことができる。このマークの幅は、8cmである。 |
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コーナーキックを行うときの距離を確実に守らせるため、コーナーアークから5m離れたところに、ピッチの外側にゴールラインと直角なマークを描かなければならない。このマークの幅は、8cmである。 |
理由 |
: |
これによって、競技者と審判の両方にとって、コーナーキックが行われるときに必ず離れなければならない距離を遵守しやすくなる。 |
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<日本協会の解説>
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コーナーアークから5mのところのマーク設置はこれまで任意であったが、これを必須のものとした。主審あるいは第2審判は、このマークを活用し、コーナーキックのときに相手競技者を5m離すことにより、キッカーの権利を保証しなければならない。 |
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現在の文章
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新しい文章
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第2ペナルティーマークからのペナルティーキックが行われるときに遵守するべき距離を示すために、第2ペナルティーマークから両側5mの距離のところに、ふたつの追加的マークをつけなければならない。このマークの幅は、6cmである。
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理由 |
: |
これによって、競技者と審判の両方にとって、第2ペナルティーマークからのペナルティーキックが行われるときに必ず離れなければならない距離を遵守しやすくなる。 |
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<日本協会の解説>
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これまで第2ペナルティーマークから壁なしのフリーキックが行われるとき、キッカー以外のボールから5mの距離を確実に離すことが難しかったが、主審あるいは第2審判は、この新しいマークを活用して、キッカーが自由にキックを行う権利を保障する必要がある。
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◆第4条 −競技者の用具
現在の文章
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新しい文章
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競技者が身につけなければならない基本的な用具は:
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競技者が身につけなければならない基本的な用具は、次の個別のものとなる: |
理由 |
: |
国際サッカー評議会承認の改正があったため。 |
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<日本協会の解説>
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“次の個別のもの”の表現を加えることで、基本的な用具がひとつひとつの衣服等からなることを確実にしたことで、どんな形であれ、競技者のジャージとショーツが一体なものとなってはいないことになる。
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現在の文章
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(文章を削る)
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● |
すべてのシャツには、1番から15番までの背番号が付けられる。 |
● |
背番号の色は、ジャージの色と明らかに区別がつくものでなければならない。 |
国際試合においては、ジャージ、あるいはショーツの前面にも小さな番号をつけなければならない。 |
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理由 |
: |
これは、競技規則ではなく、大会規定に含められるべき技術的項目である。 |
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<日本協会の解説>
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これにより、競技者は16番以上の番号のジャージを着用することができるようになった。 |
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◆第5条 −主審
現在の文章
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新しい文章
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● |
競技規則のあらゆる違反に対して、あるいは外部からのなんらかの妨害によって、試合を停止し、中断し、あるいは打ち切る。 |
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● |
競技規則のあらゆる違反に対して、それが適当であると判断された場合、試合を停止し、中断し、あるいは打ち切る。 |
● |
外部からのなんらかの妨害によって、試合を停止し、中断し、あるいは打ち切る。 |
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理由 |
: |
試合を停止し、中断し、あるいは打ち切ることに関して、主審が対応すべき項目を区別する。 |
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<日本協会の解説>
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サッカーの競技規則と整合性を取り、試合を停止、中断、あるいは打ち切ることについて、競技規則の違反に関するものと、外部からの妨害によるものとの項目を区別した。 |
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現在の文章
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新しい文章
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● |
不正行為を犯したチーム役員に対して対応する、また、必要あれば、ピッチまたはその周辺から退ける。 |
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理由 |
: |
チーム役員に対する懲戒罰の項目を競技規則に含める。 |
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<日本協会の解説>
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サッカー競技規則と整合性を取り、競技者だけでなく、チーム役員への対応を項目立てて明記することとした。 |
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◆第7条−タイムキーパーと第3審判
現在の文章
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新しい文章
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第3審判は、次によりタイムキーパーを援助する。 |
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タイムキーパーを援助する他、第3審判は:
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主審、第2審判の要請により、ボールの交換を監視する。 |
● |
必要であれば、ピッチに入る前、交代要員の用具を検査する。 |
● |
主審、第2審判の視野外で、警告や退場に関し明らかな誤りがあったときや、乱暴な行為が犯された場合、主審や第2審判に合図する。 |
● |
交代ベンチに着席している者の行為を監視すると共に不適切な行動について主審や第2審判に知らせる。 |
● |
その他、試合に関する情報を提供する。 |
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理由 |
: |
第3審判が既に主審、第2審判の要請に応じ実施している職務を競技規則に組み入れる。
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<日本協会の解説>
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タイムキーパーの援助のみならず、ちょうどサッカーで言えば第4の審判の任務にあたるボールの管理、交代の監視、あるいは主審、第2審判が見ていなかった懲戒罰の通知などを第3審判の任務として、明確に規定した。
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現在の文章
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新しい文章
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第3審判が置かれない場合、タイムキーパーが、第3審判に特定された任務も担う。 |
理由 |
: |
第3審判の設置不可能なときのタイムキーパーの任務を明確にする。 |
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◆第8条−試合時間
現在の文章
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新しい文章
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● |
タイムアウトが与えられたとき、競技者はピッチ内にいなければならない。
チーム役員からの指示を受けたい場合チームベンチの前のタッチラインの所で指示を受ける。指示を与えるチーム役員は、ピッチ内に入ってはならない。
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● |
タイムアウトが与えられたとき、交代要員はピッチから離れていなければならない。
競技者は、タイムアウト終了時にのみ交代できる。チーム役員は、指示を与えるためにピッチに入ることはできない。
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理由 |
: |
タイムアウト時に競技者がベンチに座り、休憩を取れるようにするため。審判はタイムアウトに関する規則をチームに遵守させなければならないが、その際に発生する問題を回避する。
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<日本協会の解説>
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これにより、タイムアウト時にすべての競技者がベンチに戻り、休憩を取りながらチーム役員の戦術的指示を受けることができることになる。もっとも、ベンチにおいて、競技者と交代要員が混在することになるので、審判はタイムアウト時のベンチ管理を的確に行う必要がある。 |
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◆第10条−ボールのインプレーおよびアウトオブプレー
現在の文章
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新しい文章
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● |
天井の高さは、最低4mなければならない。また、競技会規定に明記されなければならない。 |
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理由 |
: |
円滑なるプレーを確保するため、天井の最低高を規定する。 |
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◆第11条−得点の方法
現在の文章
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新しい文章
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引き分けに終わった試合のために、試合の勝者を決定するための延長戦あるいはペナルティーキックマークからのキックに関する条項を競技会規定にもうけることができる。 |
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勝利チームを決定して試合を終了させなければならないと競技会規定に記述する場合、あるいはプレーオフが引き分けで終了した場合、次の手続きのみが考慮される:
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アウェーでの得点数 |
● |
延長戦 |
● |
ペナルティーマークからのキック |
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理由 |
: |
現在のフットサルの競技形式、あるいは様々な競技会が世界中で行われていることに鑑み、これに競技規則を適合させる。
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<日本協会の解説>
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試合が引き分けに終わったもののどちらかのチームを勝者と決定しなければならない場合、あるいは欧州等のフットサル競技会で取られているプレーオフ方式において引き分けとなった場合、サッカーと同じようにアウェー得点、延長戦、ペナルティー方式のみにより、勝者を決定することとした。サッカーでは2004年のゴールデンゴール(Vゴール)等の廃止時にこの考え方が導入された。
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現在の文章
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新しい文章
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決定
試合やプレーオフの勝者決定のために競技会規定に明記できるのは、FIFAが競技規則に規定する手続きのみである。 |
理由 |
: |
フットサルはFIFAが発行する競技規則に従って競技されなければならないことから勝利チームの決定は公式な競技規則に基づいてのみ決定することを明記する。
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◆第12条−ファウルと不正行為
理由 |
: |
肩で相手競技者に当たることは、ときとして避けることのできない身体的接触であり、警告に値しないものである。不用意、無謀あるいは過剰な力をもって行わなければ、スポーツとして認められる身体接触であると考えられる。
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<日本協会の解説>
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屋内等の小さなピッチでプレーされるものの、フットサルはサッカーファミリーのスポーツであり、競争的なスポーツであり、競技者同士の身体的接触は自然なもので、試合の一部として受け入れられるべきものである。この改正により、サッカーと同様、不用意、無謀、あるいは過剰な力をもって行われる身体的接触のみがファウルとして罰則されることになった。
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◆第13条−フリーキック
現在の文章
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新しい文章
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● |
いずれかの審判は、一方の腕を頭上に上げて、間接フリーキックであることを示す。主審は、キックが行われ、そのボールが他の競技者に触れるかまたはアウトオブプレーになるまで、その腕を上げ続ける。 |
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● |
主審と第2審判は、一方の腕を頭上に上げて、間接フリーキックであることを示し、キックが行われ、そのボールが他の競技者に触れるかまたはアウトオブプレーになるまで、その腕を上げ続ける。 |
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理由 |
: |
このようなファウルは頻度高く発生しないが、発生したときには観客等にも混乱を引き起こすかもしれないことから、両方の審判が同時にシグナルを示すことにより、観客や競技者、監督にその状況をより良く理解できるようになる。
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<日本協会の解説>
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フットサルにおいて間接フリーキックの発生頻度は低いが、与えられたフリーキックが間接の場合、仮に直接ゴールに入っても得点が認められないものであることを明確に示すため、フリーキックのポイント近くの審判のみならず、かならずもう1人の審判も片手をあげ、間接フリーキックを示すこととした。 |
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◆第14条−累積ファウル
現在の文章
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新しい文章
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● |
アドバンテージ・ルールを適用した場合、審判は、ボールがアウトオブプレーになったときすみやかにタイムキーパーと第3審判に累積ファウルのシグナルを示さなければならない。
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● |
アドバンテージ・ルールを適用した場合、審判は、ボールがアウトオブプレーになったときすみやかにタイムキーパーと第3審判に必須のシグナルを用いて、累積ファウルを示さなければならない。
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理由 |
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アドバンテージを適用後、新しい競技規則に含まれる新しいシグナルを用いて累積ファウルを示さなければならないため。これによって、外部の人はその状況を把握することができる。
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<日本協会の解説>
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アドバンテージ後の反則累積は、競技者、観客、チーム役員などには判りにくい。審判が累積のシグナルを確実に示すことにより、その状況を誰もが正しく理解できるようにした。 |
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◆第16条−キックイン
現在の文章
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新しい文章
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● |
ボールがタッチラインを越えた場所から、キックして行う。 |
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現在の文章
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新しい文章
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キックインが正しく行えないよう、相手競技者が干渉、あるいは妨害した場合:
● |
その競技者は、警告され、イエローカードが示される。 |
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理由 |
: |
キックインを正しく行うことを確保するため、また競技規則に違反した場合には、懲罰が与えられることを説明する |
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<日本協会の解説>
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キックイン時には、“ボールをなかなかキッカーに渡さない”、“ボールから5m以上離れない”など様々な妨害が行われる。この条文により、妨害があった場合は警告を与えるとして、違反を抑止すると共にキッカーがキックインを正しく行えるよう保証するようにした。 |
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◆第18条−コーナーキック
現在の文章
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新しい文章
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● |
ボールがインプレーになるまで、相手競技者はボールから少なくても5m離れる。 |
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● |
ボールがインプレーになるまで、相手競技者はコーナーアークから少なくても5m離れる。 |
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理由 |
: |
コーナーキックのときに相手競技者が離れなければならない距離を第1条に適合させて正確に規定する。
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<日本協会の解説>
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サッカーの競技規則と整合性をとり、コーナーキックのときに離れる距離はボールからではなく、コーナーアークから計測することとすると共に、その距離は第1条に規定するコーナーアークから5mのマークまでの5mとした。 |
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現在の文章
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新しい文章
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延長戦およびペナルティーマークからのキックは、試合が引き分けに終わったあと、勝者となるチームを決めることが競技会規定によって要求されているとき、勝者を決定する方法である。 |
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アウェーゴール、延長戦およびペナルティーマークからのキックは、試合が引き分けに終わったあと、勝者となるチームを決めることが競技会規定によって要求されているとき、勝者を決定する方法である。 |
現在の文章
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新しい文章
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アウェーゴール
競技会規定には、ホームとアウェーで競技した後にゴール数が同じであるとき、アウェーの試合で得点したゴール数を2倍に計算する規定を設けることができる。
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現在の文章
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新しい文章
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延長戦の前後半内で得点が無かった場合、試合はペナルティーマークからのキックで決定される。 |
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一方のチームが相手チームより多く得点しなかった場合、試合はペナルティーマークからのキックで決定される。 |
理由 |
: |
新しい明確な表現を用いることにより、混乱を引き起こさせないようにする。 |
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◆主審、第2審判、第3審判およびタイムキーパーへの追加指示
現在の文章
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新しい文章
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● |
主審または第2審判がプレーを停止後、意図的にボールに触れ、対立を引き起こす。 |
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理由 |
: |
国際サッカー評議会承認の改正により、時間の浪費と競技者の対立を抑止する。 |
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<日本協会の解説>
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本年(2006年)のサッカー競技規則のおける「主審、副審ならびに第4の審判員への追加指示」と整合性をとり、“主審または第2審判がプレーを停止後、意図的にボールに触れ、対立を起こす”行為を犯した競技者は、警告されると規定した。
その内容等は、次のとおり:
1. |
内容
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対立を起こす競技者は、これまでもその行為の程度により、警告が与えられており、基本的に現在の競技規則適用の考え方と大きく変わらず、特別な対応を求めるものではない。 |
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「対立を起こす」とは、意図的にボールに触れたことにより、その後ボールの奪い合いによる小競り合いを引き起こすことである。その結果、集団での対立の原因にもなり得る。対立を引き起こした競技者には警告が与えられる。
なお、必ずしもボールに触れた競技者に警告が与えられるというわけではない。 |
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2. |
具体例
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得点をした後、得点したチーム競技者が早い再開を求めて、ボールを取り上げセンターへ持ち帰ろうとするとき、相手競技者がそれを拒もうとして、相手を押す、押さえる、あるいは捕まえる。この場合、相手競技者に警告が与えられる。 |
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得点されたチームがボールを取り上げたときに、得点をしたチームの競技者がそれを奪おうとして、相手を押す、押さえる、あるいは捕まえる。この場合、その得点をしたチームの競技者に警告が与えられる。 |
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得点があった後、両チームの競技者がボールを奪おうとして、お互い相手を押す、押さえる、あるいは捕まえる。この場合、これに関わった両チームの競技者に警告が与えられる。 |
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フリーキックやキックインが与えられたとき、ボールを自分のものとしようとして、お互い相手を押す、押さえる、あるいは捕まえる。この場合、これに関わった両チームの競技者に警告が与えられる。 |
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新たなフットサル競技規則は即時効力を発し、そのすべてが全メンバー協会において、適用されることになります。 |
国際サッカー連盟
事務局長 ウルス・リンジ
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